YEAR 2019

The Program

We canceled this year's program in Toronto due to the outbreak of COVID-19. Our first priority is the health, safety, and the security of students, patients, and all the people in society. This page reports on the outcomes of preparatory lectures, workshops, seminars, and online learning related to this program.

2019年度の派遣(2020年2月、3月)は、新型コロナウイルス(COVID-19)の感染が拡大する状況で、参加者や派遣先の皆様の健康と安全を第一に考え、中止いたしました。ここでは、TCTPに関連する派遣以外での1年間の学びを報告します。

SickKids 特別講義1(招聘薬剤師 Sabrina Boodhan)

トロント小児病院(SickKids)よりSabrina Boodhan先生をお招きし、特別講義を開催しました。

参加学生の声

  • カナダの薬剤師との違いを知り、薬剤師の可能性を知ることができてこれから頑張っていきたいと思うことができて良い機会だった。
  • 貴重なお話を直接聞くことができ、良い経験になった。トロントへ留学に行きたいという気持ちが高まった。
  • カナダの薬剤師は投与量なども決めていてすごいなと感じた。また、病院内のチームワークが日本よりもできていると感じた。
  • Pharmacy awareness campaignsが日本にはないもので、とても楽しそうでした。日本にもこのようなキャンペーンがあれば、薬剤師の職域が広がり、より多くの人に薬剤師という職業を認知していただけると思います。
  • 日本でもカナダでも薬剤師のあり方は同じなんだなと感じた。
  • 自分が薬剤師として働く際にテクニシャン制度がかなり影響してくると思います。今回テクニシャンについて知れてよかったです。

SickKids 特別講義2(招聘医師 伊藤真也)

トロント小児病院(SickKids)より伊藤真也先生をお招きし、特別講義を開催しました。

参加学生の声:1〜3回生(抜粋)

  • 今の自分は全てにおいて受動的。これからは、もっと能動的にチャレンジしていくことで、いろんなことが変わっていって、新しいことが見えてくる気がしました。
  • 今日の講義では、子供は治験例数の数も少なく、オリジナルで薬物治療のモデリングをして、その患者、また同様の疾患を持つ患者の治療に役立てているとそのような分野が発展している話を聞いて、大変興味深く、視野が広がった気がします。
  • SickKidsがどのような組織か、海外の研究機関と大学との関係性について知れたことは良かった。研究するにあたり、なぜそれを調べるのか、なぜ重要なのかという要因で“impact”が重要であることを聞いて、新しいことを発見するためには革新的な発想や方法が必要であると感じた。

参加学生の声:4回生以上(抜粋)

  • Bench to bedsideという言葉に興味を持った。臨床の場から検体をとって実験できるのは面白そうだった。
  • トロントでの薬学研究について少し知ることができとても有意義な時間になった。将来について悩むことが多くなってきたこの時期に聞くことができとても嬉しかった。
  • とても分かりやすく噛み砕いて話して下さり、わかりやすかったです。TNFについての実験がおもしろいなと思いました。
  • 自身が行なっていた研究がTranslational medicineだったことを知り、患者に寄り添った研究を行えていたことを嬉しく思った。
  • 治療法が見つかっていない患者さんの遺伝情報の変異から新たな治療法を見つけるなど、最先端の研究や医療がされていることを知りました。

TCTP事前講義(招聘医師 京都きづ川病院 院長 中川雅生)

京都きづ川病院より中川雅生先生をお招きし、TCTP事前講義を開催しました。(学生の学びの詳細は右の▽をクリックして御覧ください。)

参加学生の学びと声(抜粋)

  • 小児の特徴について、身体や臓器の機能面における特徴は学校での講義等を通じて学んでいたが、今回の講義ではそれに加えて精神面における特徴も知ることが出来た。小児に薬物を使用する際には、薬物そのものの効果や製剤的な工夫(プロドラッグ、腸溶錠など)ももちろん重要だが、味や剤形など、飲みやすさや小児が嫌悪感を抱かないかどうかがさらに重要である。実習では小児患者と接することがほぼ無かったために、新規の薬物療法開始や薬剤変更について考える際にも、味や剤形(注射は嫌がられるために避けるなど)については全くといっていいほど考慮していなかった。そのため、今回の講演を聞いて特に小児に対する薬物治療では、そういった点に関する知識も必要で、十分に考慮して薬剤決定をしなければならないと気付くことが出来た。
  • 実務実習では小児患者と関わる機会がなく小児の薬物療法について深く学ぶようになったのは本留学プログラムへの参加を決めてからであるが、勉強するほどに成人との違いや小児特有の問題点、課題が明らかになっていき、今まで知らなかったことや自分の中に無かった考え方を学ぶことが出来た。適応のある薬が限られていることや、使用できる剤形が限られているという状況は適切な薬物治療を行う上で大きな障壁となるが、小児に対してはそれらの障壁を乗り越えて治療を行わなければならない。トロント小児病院での実習や薬剤師になってからの臨床での学び、経験を積み重ねて、小児に適した薬物治療の実施をサポートできる薬剤師になりたいと思った。
  • 添付文書で「小児や妊婦・授乳婦に対する安全性は示されていない。」という記載をよく見かけるが、小児に対する適応外処方がおよそ64%にも及ぶことは知らなかった。日本の国民皆保険のような医療体制では、治験が最新の治療を受けることができる機会ととらえられる可能性が低いことや安全性の懸念からも治験を受けるケースは少ないとのことだった。適応外処方では、原則として保険は適用されず、自由診療扱いとなるが、十分に科学的根拠が認められる場合や、高度医療に用いる一部の新薬などに限り、例外的に保険適用・保険診療との併用が認められる。しかし、適応外処方による医療事故が発生した場合の責任の所在は不明であり、医療者側の立場を守るためにも適応拡大は進めていくべきだと強く感じた。そのためには、治験数を増やすことよりも現在行われている適応外処方に対する1つ1つの症例についてエビデンスとなるように日本全体で協力してデータを集め、適応拡大を促進していけるように努めることが必要であると感じた。
  • 今回の特別講演を通して、小児の薬物治療は添付文書通りにいかないことが多いため、小児の特性をしっかり理解した上で、様々なエビデンス、経験が重要になってくる分野であると感じた。講演で学んだ内容をしっかり復習し、さらにもっと知識をつけて準備をし、これから参加するトロント留学プログラムでより多くのことを学ぶことができるよう頑張りたいと感じた。
  • 「小児は成人の小型ではない」と言われる通り、小児の身体機能は成人のものと比較して異なり、未成熟な場合が多い。各薬剤の小児に対する影響は臨床試験が行われていることが少なく、情報が少ないことは実習を通して感じていた。しかし情報が少ない分、安全性の担保されない治療が行われていることを本講義で改めて痛感した。小児の投与量を決定する上で様々な計算式が存在するが、これはあくまでも推測の域を出ないことを肝に銘じておきたいと思う。一方でこれだけ成人と異なり情報の少ない小児薬物療法はわからない部分が多い分、自分の興味が惹かれる領域のようにも感じた。
  • 薬物に対して様々なことがわかってきている中で、小児領域に関する情報がここまで少ないのは正直驚きだった。米国や欧州では情報の少なさに対する対策を行なっていることも初めて知ったし、日本が遅れている現状を改めて感じてしまった。自分が薬剤師として臨床現場に出る頃には、小児医薬品開発ネットワークのような情報収集システムがより発展していることを考えると、もっと勉強しなければならないと思うのと同時に、そこか楽しみのようなものも感じた。トロントでは日本とは医薬品に対する制度などが異なり、患者さんの医薬品に対する考え方も異なる。日本の薬剤師も将来的には現在の外国薬剤師のような形に変わっていくのではないかと個人的には考えているので、将来像を見るという意味でもトロント研修では日本との違いに注視して2週間の生活を無駄なく送っていきたいと考える。
  • 小児の薬物動態に関して、よく言われる言葉がある。それは、「小児は成人の小型ではない」である。成人と比較して、小児は臓器などが未熟であり、脂肪量や水分量が成人とは異なる。脂肪が一番未熟で、脳に脂肪が多い事から脂溶性薬物が脳にたまりやすいことがあげられる。また、体内水分量が多いことから、水溶性薬物が薄まりやすいことがあげられる。ADMEでいうと、吸収の面では新生児・乳児は成人より遅く、最高血中濃度到達時間が遅れる。しかし、新生児・乳児は皮膚が薄いなどから経皮吸収は成人よりも良好である。分布の面では、小児は脂肪量が少なく細胞外液量が多いことから水溶性薬物の分布容積が成人より大きくなる。代謝の面では、新生児・乳児では肝臓での代謝が遅い。排泄の面では、新生児・有事ではグルクロン酸抱合が未熟なため、肝臓からの排泄が遅れるなどがある。 小児は特有の事柄が多く、勉強することがたくさんあると感じた。トロント小児病院は世界でも有数の小児病院なので、いろいろなことを吸収して、自分の将来に活かしたと思った。

TCTP 英語ワークショップ・講義・ケーススタディ

英語ワークショップ

  • Codeine Warning for Breastfeeding Moms (WebMD)の記事を使い、コデインの授乳に対する影響やそれに関わる英語表現を学びました。
  • 英語のCVの特徴について学び、自分のCVを作成しました。
  • 英語のインタビューの練習をしました。

Zoom Interview

  • 派遣先のトロント小児病院のコーディネーターとZoomを通じたグループインタビューを行いました。

オンライン・トピック投稿

実務実習の期間は、次のトピックに関して調べたことを英語でまとめ、Slackに投稿し、学び合いました。

  1. News on SickKids
  2. Videos on SickKids
  3. Children's diseases
  4. Antimicrobial stewardship
  5. Health insurance plan
  6. Medication Reconciliation/持参薬管理
  7. Medications in pregnancy and lactation
  8. Pharmacogenomics

事前講義・ケーススタディ

  • 小児の薬物動態、抗菌薬適正使用、多職種連携について講義を受けました。
  • 英語の医学用語を学びました。
  • 小児医学、妊娠・授乳期の薬物治療、Pharmacogenomicsについて講義を受け、発表をしました。
  • 論文セミナーを実施し、ケーススタディを行いました。
  • 英語でPhysikoを使ったフィジカルアセスメントとケーススタディを行いました。


TCTP2019参加学生の声

  • 留学の準備のためにたくさんの先生方にお世話になりました。講義や準備期間を通し、苦手な英語に触れる機会が増えたこと、海外の医療について学べたことなどは私にとってプラスになったと思います。実際にプログラムに参加できなかったことは残念でしたが、自分の活動の幅を広げることができ、挑戦してよかったと思います。ありがとうございました。
  • 事前講義やCV作成、オンラインインタビューなどを通して、通常の学科の勉強や実習では出来ない貴重な経験をすることが出来ました。小児医療や海外の医学・薬学分野について学ぶと共に英語での書類作成や面談も行い、悪戦苦闘する事もありましたが仲間や先生方に助けられて楽しく学び続けられました。今回現地での研修が中止となってしまったのはとても残念ではありますが、事前準備を通して多くの事を学んだり自分で考える機会を得られて、とても有意義な時間を過ごすことが出来ました。この経験を活かし、将来臨床の場で薬剤師として医療に貢献していきたいと思います。
  • 私は小児医療に興味があり、プログラムに参加することにしました。留学準備のみとはなりましたが、医療英語や海外・国内の医療体制、小児医療に対する薬剤師の関わり方について学び、考える良い機会になりました。自分の将来の薬剤師像を改めて考える上でも、貴重な経験になったと思います。留学にあたり、トロントの先生方とのSkype面談など初めてのことも多く不安もありましたが、先生方や一緒に参加する友人達のサポートもあり、積極的に活動に参加することができました。ありがとうございました。
  • 今回はコロナウイルスの影響でトロント研修が中止になり非常に悔しい思いでした。トロントに行くにあたり多くのことを学びました。実務実習を終えた上で海外の医療に目を向けることは、自分の視野がとても広がることにつながりました。日本での薬剤師像が全てではなく、より広い視野を持って、この先どうなりそうなのかを考えた上で、将来薬剤師として活躍していきたいと感じました。